神田の物件

突然ですが私はお上りさんで、東京の中心といえば港区と思っていた。
煌びやかで艶やか欲望の街という印象が田舎もんの私にはかっこ良く見えていた。
この年になる迄。
でももう人生の折返し地点、もっと真髄を知り、自分の時間を大切に、自分にとって何が大事で幸せかを、今迄の経験から取捨選択しようと思った。
そこで、今迄のしがらみを断ち切って江東区に引越しした。
私が引越しした森下は昔栄えた、『東京右半分側』東京にしてはのんびりした場所。
引越しして2日目で感じた、私に足りなかったもの、それは現実感。人の営みが肌で感じられる場所。朝起きると雀がベランダでチュンチュン、ゴミ捨てに行くとお弁当を作っている卵焼きの焼ける匂いが癒しを与えてくれた。
よし、これからは東京右半分で生きて行くぞ!そう心に決め、夢を売る場所を探しに…。
そこで出逢った神田の物件。
電話で翌日の19日に約束をしたが、どんな場所か気になった。居ても立っても居られなくなり、電話した夜、神田へ。。。
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駅から大通りへ出て2本目の筋を入った場所。木枯らしのせいか通りがなんだか淋しく思え、閑散としていてここに人が集まるのかと不安を覚えた。
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そして物件の前に立つ。
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栄えた場所が今では廃墟。なんだこれ…気持ち悪い、ここの2階?ダメダメこんなとこ。さっさと帰ってしまった。
次の日、約束してしまったし、まー、見てみるか。そんな気持で神田へ。約束場所に行くと、そこの管理をしている会社の方が出迎えてくれた。ひとしきり挨拶をすると、もう1人が少し遅れて来ますと。世間話をしていたら、もう御人方やってきた。今回このプロジェクトのプロデュースをしております、○○です。(私)村岡です。
(お!なんだなんだ!なんか本格的!)
この物件、以前は神田ミートセンターだった場所。それが新しく生まれ変わり、神田バルとして生まれ変わるそうなのだ。この管理会社、私が入り浸っていた恵比寿横丁を運営している会社。今回の神田バルは恵比寿横丁のプロデューサーとは別の会社で再スタートするそうだ。
御二方のお話によると、9店舗のうち、4店舗が2階、その一角が最終募集中。それぞれ、スペイン料理、イタリアン、餃子、沖縄料理、ピザ屋、ジンギスカン、野菜とワイン、腸詰めの店が既に決まっていて、そこに和が無かったので、日本酒の店が欲しかったと言われた。でも、私がやりたいのは日本酒バー、御二方は日本酒バルを求めているので、何となく大丈夫かな…と思いながら資料を頂き帰った。
夜、ベッドの中で考えていた。
あの場所、2階、日本酒バル?んー…。
私がやれるのか…やれないのか…
夢現な状態からふっと目が覚めた。いつの間にか寝落ちしてたようだ。でもハッキリとした意識で直感。
あれだけのお膳立て、素人の私のバックアップをやってくれると仰る御二方と組んでみよう。そう思ってた矢先に、昨日の管理会社の方から電話。
『村岡さん、あの店をやる気ありますか?
はい!やりたいと思います‼︎』
一気に急展開。